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隣人と土地の境界でもめているのですが・・・

隣人と土地の境界でもめているのですが・・・

今年1月より新しく法務局の登記官に土地の「境界」を特定してもらえる「筆界特定制度」ができました。
土地の境界には「公的な意味での境界」と「私的な意味での境界」の二つがあります。土地は自然状態では無限の広がりがあるのでこれを人為的に区分して、「1筆」という土地の単位でその権利関係が公示(登記)されております。この公示の単位となる1筆の土地の区画を構成する線が「公的な意味での境界」(これを「筆界」といいます)であり、「私的な意味での境界」とは土地の所有権の及ぶ範囲のことで隣接する土地の所有権との境目を意味します。

筆界特定制度は、この登記された土地の区画である筆界を特定する制度であり、所有権の範囲そのものを特定するわけではありません。土地の所有者等の申請に基づいて、法務局の筆界特定登記官が外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、過去にその土地が登記された時にその土地の区画を構成するとされた線を、現地において発見し、特定するものです。

様々な事情により1筆の土地の中の一部に別人の所有権が成立することがありうるので、筆界と私的な意味での境界は必ずしも常に一致するわけではありません。しかし、筆界が特定されるということは、事実上、所有権の及ぶ範囲を推定する手がかりになるので、お隣同士で境界が不明なときに、裁判に持ち込むことなく、この制度を利用することで、迅速・適正に紛争が解決されることが期待されております。筆界特定の申請をしたいときは、対象となる土地の所在地を管轄する法務局に、申請書と必要な添付書類を提出します。筆界特定の手続における測量に要する費用は申請人が負担することになっております。筆界特定の申請ができるのは、その土地の所有者やその相続人等です。
筆界特定登記官は、申請を受け付けると、その旨を公告するとともに、その土地の隣接地の所有者など利害関係人に通知をします。これらの利害関係人には申請人と同様の手続保障(対象土地の測量又は実地調査への立会いや意見又は資料の提出等)が与えられます。
筆界調査委員は、筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出することを任務とし、そのために必要な専門的知識及び経験を有する者が法務局長により予め任命されております。
筆界特定登記官は、筆界調査委員の意見を踏まえ、かつ、登記記録や地図、関係する土地の地形や主たる用途、面積、その土地に設置された建物や塀等の有無、境界標の有無、それらの設置の経緯等あらゆる事情を総合的に考慮して、対象土地の筆界特定をします。
筆界特定は、筆界特定登記官が過去に定められた筆界の位置に関する認識及び判断を再び特定、表示する行為であって、これにより新たに筆界を定めるものではありません。したがって、仮に「筆界確定訴訟」が提起され、その判決が筆界特定の結果と抵触するときは、その範囲で筆界特定は効力を失います。とは言え、関係者への手続保障を行ったうえで専門家の意見を踏まえて公の機関が示した筆界の位置に関するこの判断(特定)は相応の証明力を有するので、事実上、これに反する判決が出ることは少ないと思われます。
詳しいことは、お近くの司法書士または司法書士会にお尋ねください。

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