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新しく会社を興しやすくなったと聞いたが、お金がなくても会社がつくれるのか

新しく会社を興しやすくなったと聞いたが、お金がなくても会社がつくれるのか

今年5月より新しく「会社法」が施行されました。
ビジネスを始めるにあたり、会社を設立しようとするケースは多いでしょう。会社を設立しないで個人でビジネスを行うことも可能ですが、会社を設立する大きなメリットは、一言でいって会社の負債を個人が負わないということです。ただし、会社には合名会社・合資会社・合同会社・株式会社(「会社法」以前では有限会社も)があり、そのメリットを受けられるのは、会社の負債と経営者や株主個人の資産が分離されている株式会社(と有限会社)か合同会社です。そこでここでは株式会社の設立について考えてみましょう。 
 以前は、株式会社を設立するには1000万円、有限会社では300万円の資本金が必要でした。この会社設立の際の資本金のハードルを低くしてもっと起業を盛んにしようという議論の結果、平成15年に暫定的に資本金が1円以上あれば株式会社や有限会社を設立できることになりました(中小企業挑戦支援法)。
そして、起業に伴う会社設立を促進するために、このほど施行された「会社法」で株式会社の設立はさらに簡単になりました。なおこれにより株式会社と有限会社の区別はなくなり、株式会社に一本化されました。
具体的には2つの変更点が挙げられます。1つは、設立の際に多額のお金を用意しなくとも株式会社が作れるようになったことです。「会社法」では資本金の制限をなくし、いわゆる1円会社が正式に認められました。従来認められていた1円会社は設立後5年以内に増資しなければなりませんでしたが、「会社法」ではその制限はなくなりました。また、これまでは設立に際して、資本金についての金融機関の保管証明書が必要でしたが、発行手数料の安い残高証明等で足りることとなりました。ただし1円会社といっても定款の認証料、登録免許税などは従来どおり必要ですし、設立手続を専門家である司法書士に依頼する場合は上記実費の他に手数料が必要です。
 もう1つは自分1人だけでも株式会社を作れるようになったということです。これまでは株式会社には少なくとも取締役3名、監査役1名が必要でした。「会社法」では取締役1名でも株式会社を作ることができます。友人や親類などから役員に就任してくれる人を探す必要はなくなりました。「会社法」では会社設立に際し、用意するお金も人も従来より少なくてすむようになったといえます。
 ところで「会社法」は、新たに会社を興す場合だけでなく既存の会社についても利用価値のある制度を用意しています。例えば日本に多く存在する中小企業にとっては、上場企業のような公開会社とは違った制度が必要であろうとの議論の結果、非公開会社(会社が発行するすべての株式について譲渡制限の定めがある会社)については、実態に即した役員構成や役員の任期を選択できるようになりました。その他にも中小企業にメリットのある制度をいくつか定めています。
「会社法」で企業に制度選択の余地が広がりました。上手に活用すればよりよい企業経営を行うことができるでしょう。これからは会社の経営規模や経営理念などにより、最適なメニューを選ぶ目が必要となります。詳しくは最寄りの司法書士にご相談ください。

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