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身に覚えのない請求書が送られてきた!

身に覚えのない請求書が送られてきた!

結論からいうと,
1.無視しましょう。
2.戦うべき相手は,架空請求業者ではなく,皆さんご自身です。
3.まれには無視できず対応が必要なことがあります。
「この度、通知しましたのは,貴方の未納されました民法指定消費料金について・・。」
 ・・・などという書き出しで始まるハガキが架空請求の始まりです。ちょっと読んでみましょう。「以降、下に設けられた裁判取り下げ最終期日を経て訴訟を開始させて頂きます。このままご連絡なき場合には、原告側の主張が全面的に受理され裁判日の処置として給与の差し押さえ及び、動産物、不動産物の差し押さえを執行官立会いの下強制的に履行させて頂きます・・・民事訴訟及び、裁判取り下げなどのご相談に関しましては当局にて承っておりますのでお問い合わせ下さい。」
 われわれ司法書士から見ると,あちこちほころびの見える文章です。おそらくこの紙面をご覧の皆さんから見ても,うさんくさく感じられると思います。少なくとも,いまこうして経済紙上で見ている限りは・・・。
 こういった架空請求によって,平成17年一年間で,少なくとも56億円の金がだまし取られました(警察庁調べ,既遂分のみ,振り込め詐欺は除きます)。請求の内容は,半分がインターネットの有料サイト利用料金の支払いを求めるもので,残りが貸金の返済やブラックリスト登録取消料の支払を求めるものなどです。
 この種の架空請求への対応策として,一般的には無視することが勧められています。私も冒頭で無視をお勧めしました。
 しかし,無視する,放っておくというのは,そんなに簡単ではないようです。これは架空請求かもしれない,とうすうす感じていたとしても,このまま放っておいて面倒に巻き込まれたら困るなと不安になりませんか?無視しよう,と意識すればするほど,皆さんの不安はどんどん大きくなります。やがて耐えきれなくなったときに,皆さんは相手業者に電話をかけ,そして56億円の一部を負担することになります。
 私達が,あることを意識的に無視・放置するためには,これは放っておいていいんだ,と自分で納得できる理由が必要なのかもしれません。
これは架空請求だから放っておいていいんだと納得出来る理由を見つけるためには,たとえば,皆さんご自身が架空請求の手口を知っておくことが役に立つでしょう。そしてなにより,法律専門家のアドバイス,「ああ,これなら放っておいて大丈夫ですよ」というひとことを聞くことが大きな効果を持つと思います。
戦うべき相手は,架空請求業者ではなく,皆さんご自身の不安感です。ご自分の不安感に負ける前に,司法書士にご相談下さい。
 なお,まれには,無視せず対応が必要な架空請求もあります。
(再び架空請求ハガキから)
「一日で判決の出る少額訴訟手続きを利用し,実際に訴訟を提起する場合もございます。放置してしまうと欠席裁判となり原告の言い分どおりの判決が出され・・・。」
 ・・・この種の文面には珍しく,ここに書かれているのはウソではありません。
架空請求業者が本当に訴訟を起こすことがあります。その場合,なんの答弁もせず放置しておくと,裁判で負けるのは皆さんです。         
裁判所から書面で請求を受けた場合は無視せず,すぐに司法書士にご相談下さい。

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