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「古い抵当権の抹消」 について

亡くなった父親名義の自宅の登記簿を調べたところ「明治33年5月〇日受付第〇号、原因・同日金員借用証書、債権額・100円、利息・月一歩、抵当権者・熊本市〇町〇番地、甲野太郎」という登記がしてありました。そういえば、亡くなった父が生前「先祖が甲野太郎さんからお金を借りたことがあるが、すでに返済は済んでいる」と話していたのを覚えています。関係書類は残っていませんし、甲野太郎さんもすでに亡くなられているはずです。この古い抵当権を抹消するにはどうすればよいでしょうか。

方法は3つ 着手早めに

古い抵当権を抹消する方法には、甲野太郎さんの相続人を調べ、その人たちの協力により抵当権そのものの相続登記をした後、抹消登記をする方法があります。ただ、甲野太郎さんの相続人と連絡が取れないことも考えられます。


 このような場合は「登記義務者が行方不明」の場合に当たり、抵当権の簡易な抹消手続きとして(1)裁判所に公示催告の申し立てをし、除権判決を得て抹消する(2)債権証書・受取証書などを添付して抹消する−という方法があります。


 ただ、質問のケースでは、返済時の領収書など関係書類がいっさいないとのことですので、(1)(2)の方法では抹消できません。そこで、(3)債権の全部(元本・利息・遅延損害金)を法務局(供託所)に供託して抹消登記手続きをする−という方法をお勧めします。この方法は、債権の弁済期から20年を経過していることが必要ですが、質問の場合は大丈夫と思われます。


 なお、登記義務者の行方不明を証明する書類も必要になりますが、甲野太郎さんの登記簿上の住所に、配達証明付き郵便局で債権(お金)の受領を催告する手紙を出し、それが到達しなかったことを示す書類でよいことになっています。甲野太郎さん、またはその相続人を捜し歩く必要はありません。しかし、古い抵当権の抹消手続きは場合によっては時間がかかりますので、早めに取り掛かる必要があると思われます。


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