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離婚後、夫婦共有名義のマンションを、自分の名義にしたい

離婚後、夫婦共有名義のマンションを、自分の名義にしたい

厚生労働省の報告によると、平成16年度の離婚件数は、270,815件、約1分58秒に1組の割合で、離婚が成立しており、10年前と比較すると、約8万件も増えているそうです。このように増加する離婚について、離婚する二人にとって、新しい人生の出発ととらえ、離婚後お互いに、いやな思いをしないように、きちんと法的手続きをしておくことは、大変重要なことだと思います。
ご質問の場合、相手方が離婚前にマンションの名義変更(所有権移転)に合意しておりなおかつ現在も、その変更手続きに協力してくれるのであれば、ことは簡単です。名義変更に必要な書類を整え、法務局で名義変更(離婚に伴う財産分与による所有権移転登記)の申請をすれば済みます。とは言え、名義変更の手続きについては、申請書の作成、添付書類の取寄せ、後日紛争が起きないように相手方当事者の自筆による署名押印の確認及び財産分与契約書の作成の有無や、登録免許税額の納付等、なかなか手続きは複雑です。またその他にも、そのマンションを、当初、二人で購入した際に、銀行から融資を受け、現在もローンが残っているような場合は、銀行との関係で、ローンの残債務について、誰が支払っていくのか等の問題が生じることもありますので、なるべく、お気軽に、お近くの司法書士に、ご相談されることをお勧めします。
しかし問題は、離婚前に二人の間で、マンションの名義変更について、合意がなされていなかったり、合意はしていたが、口約束であったりした場合です。その場合は、再び別れた相手と交渉し、協力を求めなければならなくなります。もちろん離婚当事者間の破綻の度合いにもよりますが、破綻の度合いが軽微で、相手方が同意してくれれば幸いですが、同意が得られない場合、あるいは連絡さえとれない場合等は、マンションの名義を変更するための調停、あるいは裁判という手続きを選択することとなり、せっかく相手と別れたにもかかわらず、またまたストレスを抱えることになります。
離婚の方法が、裁判所や公証人役場を利用した離婚手続きの場合には、法的手続きを整備した上で進めていきますが、当事者間の話合いにより進めていく離婚の場合には、往々にして法的手続きを棚上げにしたまま離婚届けを提出してしまう場合があります。
本来、離婚の際に、最低限決めておかなければならないことがいくつかあり、「財産分与」もその1つです。それらの事を、離婚届け提出前に、二人で合意し、その内容を書面にし、できれば公証人役場で公正証書に作成しておくべきです。
したがって離婚を考えて、二人である程度合意に達した時には、離婚届け提出前に、司法書士等の法律専門家に、離婚に関する法的手続きの概要をご相談されることを、ぜひともお薦めします。また税金についても事例によっては、贈与税や譲渡所得税等が課税される場合もあり、事前に税務署や税理士に相談したほうがよいと思います。なお、離婚に伴う財産分与請求権(御質問の場合マンションの名義変更を請求する権利)は、離婚後2年で時効により消滅してしまいますので、すでに離婚している場合は、なるべくお早めにご相談ください。

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