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老夫婦のみで暮らしているが、生活が困難になった時に子ども達に面倒をかけたくない。

老夫婦のみで暮らしているが、生活が困難になった時に子ども達に面倒をかけたくない。

日本は今まで経験したことがないスピードで超高齢化・少子化社会となりました。以前は、子どもたちが親の面倒を看るのは当然という時代でしたが、親の介護に苦労した経験のある世代には、自分の子どもに面倒をかけたくないと考える人も少なくないようです。
子どもに面倒をかけない生き方にマニュアルはありません。各人が置かれた状況や考え方によって選択肢も必要な資金も異なるからです。「生活が困難になった時」とは、金銭的か、身体的か。子供と同居するのかどうか。同居の場合、一軒家か二世帯住宅か。別居の場合、現在の住居で暮らすのか、老人ホームに入居するのか。少し考えただけでも色々な選択肢があります。先のことは、誰にもわかりません。今はいいけれど、自分や配偶者が寝たきりや認知症になれば誰が介護をするのか。配偶者に先立たれ自分が独りになった時どうするか。あまり考えたくない問題ですが、これから起こりうることを想定し、正確な知識を持って家族で話合うことで、ある程度、漠然とした不安は取り除かれるはずです。
例えばあなたが、一軒家に住んでいて老人ホームには入りたくないけれども、生活費が不足してきた場合を考えましょう。一部の金融機関や自治体などでは、高齢者の所有する土地や建物を担保として抵当権を設定した上、生活費や医療費等を毎月少しずつ融資し、死亡などによって融資期間が終了した時に元金及び利息を一括して返済する制度(リバースモーゲージ)があります。融資期間中は元金の返済や利息の支払いは不要であり、返済方法は担保不動産の売却でも、他の金融資産による返済でも大丈夫です。住宅購入の際など、一般の住宅融資では、はじめに一括して融資が行なわれ、毎月の返済により融資残高が減少するのに対し、この制度では、融資残高が毎月増加し、その期間が終了した時に、一括返済が行なわれます。ただし、この制度を利用するには、実施機関において細かい利用条件等がありますので、利用の際は、事前に問い合わせる必要があります。
一方、体が動かなくなったら老人ホームに入りたい場合は、その種類や入居基準、費用等を、事前に比較検討しておくと良いでしょう。具体的に入居を決める前に、体験入居してみるなども失敗しない秘訣です。
また、2000年4月から、介護保険制度と成年後見制度が施行されました。
介護保険は、介護を必要とする状態になっても、できる限り自宅で自立した日常生活が営めるよう、必要な介護サービスを総合的に提供する社会保険制度です。成年後見制度は、判断能力の不充分な成年者を保護するための制度です。人は加齢とともに段々と判断能力が低下していきます。判断能力が衰えてきたときに、その能力の状況(衰えの段階)に応じて、それに見合ったサポートを受けられる仕組みがこの成年後見制度です。この頃物忘れがひどくなってきたので財産管理が不安だ、買物や保険、福祉サービスの契約等を間違いなく手続したい・・・などというときに、信頼のおける人がそれを代わって行ってくれると安心です。もちろん気のおけない子ども達がいてくれればそれが一番ですが、なかなかそうはいかない場合もあります。そんなときには司法書士にご相談下さい。親族以外の、法律専門家としての後見人には、司法書士が最も多く選任されています。将来に備えて、判断能力が充分なうちに選任しておくこともできます。制度の詳細や申立て方法などについてはお近くの司法書士会にご相談下さい。安心して楽しい余生を送りたいものですね。

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