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金融会社から昔の借金の請求書が届いた!

金融会社から昔の借金の請求書が届いた!

突然、借金の請求書が届いたので、どう対処すればよいかわからないという相談が数多く寄せられています。そこで、今回はそのような請求書の対処法について考えてみましょう。
 そのような請求書が届いたときは、まず、以前借りた覚えがある会社かどうかを確認してください。
 借りた覚えのない会社からの請求であれば、原則として支払う必要はありません。むしろ架空請求の可能性がありますので、むやみに問い合わせの連絡などをせずに、そのまま放置しておくことが望ましいでしょう。ただし、借りた覚えのない会社からの請求書でも、封書の差出人が裁判所である場合には、何らかの対応をとらなければ不利益を被るおそれがありますので、そのときは最寄りの司法書士等にすぐに相談をしてください。
また、請求書の発信会社自体に覚えがなくとも、債権譲渡されている場合もありますので、慎重に検討することが必要です。債権譲渡とは、Aという金融会社から債権を買い取ったなどといって、別のBという会社が請求をしてくることです。しかし、債権譲渡は、原則として譲渡人(この場合、A)から、債務者(この場合、請求を受けている人)に対しての通知がなければ、譲受人(この場合、B)は債務者に借金の請求権を対抗できません(民法467条)。つまり、このような通知がなければ、譲受人からの請求を拒むこともできます。しかし、債務者が承諾をしてしまうと債権譲渡を認めたことになってしまうので、安易に支払いをしないことです。ですから、債権譲渡を受けたと主張する請求書が届いても、譲渡人からの通知等がなされていないのであれば、原則として放置すべきでしょう。
さて、請求書の発信会社が、以前、確かに借りたことのある会社だった場合には、その会社へ最後に支払いをしたのが何年前であったのかを思い出すようにしてください。
借りたものは返さなければならないというのは当然なのですが、実はあまりにも昔のものは権利が消滅するという制度があります。これを消滅時効といい(民法167条、商法522条)、貸金業者に対し、5年間支払いをしていないときは、「その借金は時効で消滅した」と主張することによって、借金はなくなります。ただし、貸金業者が支払い督促等を以前に行っているときは、時効が中断していることもあります。なお、裁判手続により時効が中断された場合は、時効の期間が10年間に伸長されます。ですから、身に覚えのある借金のときは、何年前から支払いをしていなかったのかをできるだけ正確に思い出し、さらに、以前、裁判所からその会社に関する書類が何か郵送されていなかったかを思い出すことが必要です。その結果、借金が消滅時効にかかっているときには、内容証明郵便で消滅時効の援用をすることをお勧めいたします。あとで、確かにそのような意思表示をしたという証拠になるからです。なお、内容証明郵便を出す前に少額でも支払いをしてしまうと、時効が中断してしまいますので、ご注意ください。
昔の借金がまだ消滅時効にかかっていないとき、専門家の関与なしに連絡をすると、本来支払う必要のない高額な利息計算に基づく残元金での和解を勧められることもあるようです。そのときは、自ら連絡をとることをせず、最寄りの司法書士等の専門家に相談をしてください。利息の減免等の交渉を試みることができます。

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