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身内がパチンコにはまってしまって何度も借金を繰り返す。どうやったらストップできるか?

身内がパチンコにはまってしまって何度も借金を繰り返す。どうやったらストップできるか?

最近は、パチンコ業界も相談窓口を設置するなど、身近なギャンブルへの依存に関する問題が表面化しています。薬物・アルコール・ギャンブル・買物・・・世の中は、様々な依存対象物で満ち溢れています。どれもこれも魅惑的なものばかりで、一旦依存対象物にはまってしまうと、そこから抜け出すのは並大抵のことではありません。さらに、依存症は、その人の家族を巻き込んでいきます。どんな依存対象物であっても、共通しているのは、借金の問題として表面化してくることです。今はお金で買えないものはないと言われる世の中です。ギャンブル・買物はお金そのものが対象ですからもちろんのこと、高価な薬物もさらにはアルコールにおいてさえ、本人たちは働かなくなりますからどうしても借金をして依存対象物に向かうようになります。
 消費者金融からの借金には身内の皆さんは必要以上に気を遣っています。どんなにTVコマーシャルで身近なイメージを植えつけても、返済滞納時の取立てには大変な恐怖感をお持ちです。そこで、本人も「二度と借金はしないから、今回だけは助けてください。本当に懲りた。心を入れ替えてがんばります」と、平身低頭「誓約書」まで差し出すことになります。ご家族の方々も、本人を信じて、また家族への取立て行為に関しても不安を感じて、家にあるお金をかき集め、なけなしの貯金や場合によっては不動産など財産を処分してまで、本人の借金返済の尻拭いをすることになります。しかし、反省しきりの本人の舌の根も乾かぬうちに、次の借金が明らかになります。このように依存症の悪循環のなかに家族は巻き込まれていくのです。
 借金の原因となっているものを絶たなければ、表面上の現象に過ぎない借金が、繰り返されるのは当然の結果です。原因である依存症に本人が気づくために、借金の尻拭いは絶対にやってはいけません。せっかく、借金という問題で本人が自分の問題に向き合うチャンスを、ご家族が奪ってしまう結果となるからです。そもそもご家族は本人の借金についての保証人でもないし債権者に返済する義務は一切ないのです。
 それでもご家族の方々は心配されます。一.取立てが怖い、二.放っておくと金利が膨らむ、三.倫理上借りたものは返すべきだ、という3つが主な理由です。これらは、「貸金業の規制等に関する法律」でしっかり規制されていて、ご家族は法律上も行政上も守られていることを知っていただきたいと思います。制度を理解して、安心して借金の尻拭いをやめること。それが、本人の依存症からの回復の第一歩になるのです。
 本人が自分の依存について向き合い、自分の意志の力ではどうにも抜け出せないと気づいたときから回復への道が始まります。回復のためには自助グループでのミーティング(ギャンブルでは「GA」と呼ばれる自助グループが各地に存在する)が効果的だといわれています。ここでは、同じ依存症の仲間が自分のことを話し、他の人の話を聴くことで正直な自分への変化をもたらすセルフ・セラピーが実施されていると考えるとよいでしょう。自助グループに通う毎日を送るためには、中間施設(ギャンブルであれば横浜に「ワンデーポート」が存在する)でのリハビリも欠かせません。借金の問題の解決は本人が社会復帰を果たした後で充分間に合うのです。
 まずは、「依存症」に対する正しい知識を身につけ適切な対処方法を見出しましょう。

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